インバウンドマーケティングの重要性や手法、導入事例を徹底解説!
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コンテンツの間接効果も評価できる|インバウンドマーケティングに役立つ「アドエビス」とは?
- 「Web広告や展示会などあらゆる施策を試してみたが、成果が出ずに困っている」
- 「インバウンドマーケティングに取り組みたいけど、何から始めればいいか分からない」
そのようなお悩みをお持ちのマーケティング責任者・担当者の方も多いことでしょう。
インバウンドマーケティングとは、見込み顧客に自社の商品やサービスを「見つけてもらう」マーケティング手法のことを指します。ブログやSNSなどで顧客に役立つ情報を発信し、自然な流れで商品やサービスへの購買意欲を高めます。
企業主体で「売り込む」方法とは異なり、顧客にとって価値あるコンテンツやコミュニケーション方法で信頼関係を築いていくのが特徴です。顧客が自ら探しにきてくれるため、これまでリーチできなかった層にもアプローチできる可能性があります。
近年は、インターネットでの情報収集が主流となり、テレアポや広告など一方的にメッセージを送りつけるアプローチが効きづらくなっているという現状があります。こうした状況の中で、インバウンドマーケティングに可能性を見出す企業も少なくありません。
インバウンドマーケティングに取り組むことで、企業やサービスにファンがつき、発信したコンテンツが資産になるなど、企業にとってさまざまなメリットがあります。
この記事では、インバウンドマーケティングに取り組むべき理由や得られる効果、具体的な手法について詳しく解説します。
目次
1. インバウンドマーケティングとは、顧客に見つけてもらうマーケティング
インバウンドマーケティングとは、顧客にとって価値ある情報発信を行うことで、商品やサービスを「見つけてもらう」手法です。インバウンド(inbound)とは、外から中に入ってくることを意味します。
顧客が「欲しい」と思ったタイミングで情報が手に入るよう、オウンドメディア(企業ブログ)やSNSなどのプル型のメディアを使い、コンテンツを発信します。
混同されやすいコンテンツマーケティングや、プッシュ型のアウトバウンドマーケティングとはどのような違いがあるのかも理解しておきましょう。
1-1. コンテンツマーケティングとの違い
インバウンドマーケティングと混同されやすい言葉に、「コンテンツマーケティング」があります。
コンテンツマーケティングとは、顧客にとって価値のあるコンテンツを発信することで、見込み顧客の購買意欲を高める手法のことを指します。
「顧客に見つけてもらう」という点でインバウンドマーケティングと共通しますが、インバウンドマーケティングにはコンテンツ発信のほかに、自然検索での流入(SEO)や、イベントなどの手法も含まれます。
インバウンドマーケティングを実践するための具体的な手法の1つが、コンテンツマーケティングであると理解すると分かりやすいでしょう。
1-2. アウトバウンドマーケティングとの違い
インバウンドマーケティングと対になる言葉として、「アウトバウンドマーケティング」についても理解しておきましょう。
アウトバウンドマーケティングとは、テレアポや飛び込み営業、マス広告、展示会のように企業が主体となり顧客にプッシュ型で情報を届けるマーケティング手法のことです。
インバウンドマーケティングのイベントやセミナーでは「顧客の課題解決」や「ノウハウ提供」に重きを置いているのに対して、アウトバウンドマーケティングの展示会は「自社の商品PR」や「自社サービスの紹介」が中心となる点に違いがあります。
アウトバウンドマーケティングでは、顧客の状況を考慮せずにアプローチするため、時には強引な印象を与え、顧客から嫌われてしまう場合もあるのがデメリットです。
顧客との信頼関係をじっくりと構築するインバウンドマーケティングとは異なり、企業に都合の良いタイミングで多数の顧客にアプローチできるという点がメリットになる場合もあります。
2. インバウンドマーケティングに取り組むべき理由
アウトバウンドマーケティングが効きづらくなった近年、インバウンドマーケティングに注目が集まっています。
では、実際にどのようなことが原因でアウトバウンドマーケティングの効果が薄れつつあるのか、その理由を紐解いていきましょう。
2-1. 情報流通量が増え、顧客の可処分時間が減った
アウトバウンド型手法が頭打ちになった根本的な要因として考えられるのが、情報流通量が増え、相対的に顧客の可処分時間が減ったことです。
情報の流通量は年々右肩上がりに増えています。総務省の調査(※)によれば、インターネット通信量は直近5年で年間20%ずつ増加し、特に2020年初頭のコロナ禍以降は18ヶ月で2倍と大きく伸びています。
※出典:総務省 情報通信白書
動画や漫画、音楽などがインターネットを介して容易に手に入るようになった昨今、人々は動画を早送りで見なければならないほどコンテンツ消費に忙しくなりました。これはBtoB向けコンテンツも例外ではありません。オウンドメディアやYouTube等での動画コンテンツなど、ここ数年で自社メディアを通して情報発信する企業は増えています。
「検索すれば大抵の情報が手に入る」という状況下では、1つ1つの情報の相対的な価値は下がります。時間を無駄にしたくない顧客にとってノイズになりがちな企業からのプッシュ型アプローチは、顧客から「聞く価値のある情報だ」と思ってもらえなければ耳を傾けてもらえません。
2-2. インターネットの普及により顧客の情報収集行動が変化している
情報流通量の変化に加え、顧客の情報収集行動が変化していることも関係しています。
近年は、ネット検索やSNSの口コミで情報を集めるのが当たり前の時代であり、それはBtoB取引にも広がっています。商品やサービスの購入を検討する際には、事前にオンライン上で情報を収集するのです。
BtoB顧客は営業担当と接触する前に購買意思決定プロセスの約6割を終えている(※)という調査結果もあります。
BtoB取引において、Webサイトで十分な情報発信をしていない場合、大きな機会損失となっている可能性があります。
※出典:Harvard Business Review “The End of Solution Sales"(Harvard Business Publishing社)
2-3. プッシュ型のアプローチが効きにくくなっている
前述の通り、情報流通量の増加により可処分時間が減ったことに加え、購買行動前の顧客が自ら情報収集することになった昨今は、プッシュ型のアプローチが入り込む余地がなくなりつつあります。
「営業担当者から説明を受けなくてもある程度のことが分かる」という状態の顧客には、プッシュ型の広告や営業はむしろノイズとなり逆効果になる可能性もあります。それよりも、WebサイトやSNSにコンテンツを用意し、顧客に自ら見つけてもらうというインバウンド型のアプローチが有効な場面が増えてきているのです。
もちろんケースバイケースですが、顧客が自分自身の潜在的なニーズに気づいていない場合など、プッシュ型のアプローチが有効になる場合もあります。「どちらが良い」ということはなく、インバウンド型とアウトバウンド型の両方の特性を考え、バランスよく取り入れることが重要です。
3. インバウンドマーケティングの効果・メリット
インバウンドマーケティングを行うと、次のような効果やメリットが見込めます。
- ファンが増える
- コンテンツが資産になる
- 顧客データを得られる
- 長期的なコスト削減につながりやすい
それぞれについて詳しく解説します。
3-1. ファンが増える
インバウンドマーケティングの大きなメリットは、顧客にファンになってもらえるということです。
頼んでもいないのに一方的に送り付けられるメルマガや、しつこい営業電話といった押し付けがましいアプローチにうんざりした経験は誰しもあるのではないでしょうか。こうしたアウトバウンド型のアプローチでは、嫌われることはあっても「ファンになってもらう」ということは難しいでしょう。
一方で、「見つけてもらうのを待つ」スタイルのインバウンドマーケティングは、顧客が必要なタイミングで課題解決や不安解消などの価値提供を行います。このアプローチ方法であれば、嫌われてしまうことは少なく、むしろ「自分の役に立つメディア(会社)である」と好感度を高めることも可能です。
時間がかかりますが、顧客をファン化し、企業のブランド価値を高められるのがインバウンドマーケティングのメリットです。
3-2. コンテンツが資産になる
発信したコンテンツが資産になるのも、インバウンドマーケティングを行うメリットの1つです。
アウトバウンドマーケティングでもコンテンツはありますが、コストをかけなければ顧客に届けることはできません。
インバウンドマーケティングで用いるオウンドメディアのような「見つけてもらう」手法であれば、集客にかかるコストは小さく、半永久的に顧客に価値提供する資産として蓄積されます。
また、一度質の高いコンテンツを作れば、24時間365日同じクオリティで価値提供することが可能です。コンテンツが蓄積するほど資産価値を上げることもできます。
3-3. 顧客データを得られる
マス広告や対面営業などにはない、インバウンドマーケティングのメリットとして、顧客のWeb上での行動データを得られるということが挙げられます。
インバウンドマーケティングで発信するコンテンツは、Web上で顧客に見てもらうものがほとんどです。オンライン上の顧客データは、ツールを用いることで取得でき、数値として可視化することが可能です。
どんなコンテンツが見られているのか、顧客が離脱しやすいポイントはどこにあるのかなど、顧客自身も気づかないニーズの分析に役立てられます。
もちろん、顧客データを有効活用するためには、データを計測する環境の整備が欠かせません。広告効果測定ツールやアクセス解析ツール等を導入し、顧客行動を正しく計測できる環境を整えましょう。
3-4. 長期的なコスト削減につながりやすい
インバウンドマーケティングは、長期的に見るとコスト削減につなげやすい手法です。
アウトバウンドマーケティングでは、広告費や営業担当者の人件費など、ランニングコストがかかるうえに、コストの投下を止めれば集客力もなくなります。
一方インバウンドマーケティングは、人の集まるメディアを育てることができれば、顧客が自ら訪れる集客装置になります。メディア構築の初期費用や、維持のための人件費、サーバー費用などはかかりますが、広告費や営業人件費に比べれば結果的にコストを減らすこともできます。
4. インバウンドマーケティングの流れ
インバウンドマーケティングでは、魅力的なコンテンツでユーザーを集め、何度も接点を持つことで購買意欲を高めるステップを踏む必要があります。
インバウンドマーケティングを行う際には、どのように顧客を獲得するのか(リードジェネレーション)と、獲得した顧客の購買意欲をいかに高めるか(リードナーチャリング)という2つの視点で考える必要があります。
これを踏まえた上で、具体的な流れについて解説します。
4-1. 顧客を惹きつける
まずは、顧客を「惹きつける」というリードジェネレーションのフェーズです。
自社の商品・サービスの顧客になりうる人がどのような課題を持っているのかを考えて、それを解決するコンテンツを発信することが、顧客を強く惹きつけます。
この段階で重要なのは、「売り込みをしない」ということです。顧客の課題解決をすることに集中し、商品・サービスは「必要があれば紹介する」程度にとどめましょう。
リードジェネレーションの具体的な手法や成功のポイントについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
4-2. 信頼関係を築き購買意欲を高める
次のフェーズでは、惹きつけた顧客と信頼関係を築き、見込み顧客へと転換していきます。
ここでのゴールは、顧客のメールアドレスや電話番号などを手に入れることです。
メディアに価値を感じなければ、顧客は連絡先を教えてくれません。セミナー申込や資料請求など、連絡先を渡す対価としてふさわしいコンテンツを用意しましょう。
連絡先を手に入れた顧客に対しては、さらに購買意欲を高めてもらうためのリードナーチャリング施策を行います。定期的なメルマガ配信やセミナー開催などで、顧客との信頼関係を育てましょう。
リードナーチャリングの手法や進め方については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
4-3. 商談・成約に繋げる
顧客との信頼関係が高まったら、いよいよ商談・成約のフェーズです。
ただし、ここでも「いきなり売り込む」というアプローチは避けるべきです。購入に対する不安を取り除くコミュニケーションを取りましょう。
ここで活躍するのが、インサイドセールスという手法です。
インサイドセールスとは、見込み顧客に対してメールや電話などを使って非対面型の営業アプローチを行う手法です。顧客へのヒアリングや情報提供などを個別に行い、オウンドメディアやメルマガでは限界のある「かゆいところに手が届く」コミュニケーションで購買意欲を高めることが可能です。
インサイドセールスの結果、顧客が成約へのステップに進めると判断できれば、営業担当者に繋ぎクロージングします。
4-4. 満足してもらう
インバウンドマーケティングでは、顧客に購入してもらった後のフェーズも重要です。
自社のファンになってくれた顧客は、自身が広告塔となって新たな顧客を連れてきてくれる可能性を秘めています。
購入してもらった商品やサービスを使って顧客が目的を達成できるよう、購入後も手厚いサポートを行いましょう。
顧客に満足してもらうために有効なのが、購入後の問い合わせ窓口として頼れるカスタマーサポートや、顧客に伴走して製品の導入・定着支援を行うカスタマーサクセスです。
特にBtoB商材においては、導入後に担当者が使いこなせず解約してしまうということも起こりがちです。成約したからといって「釣った魚に餌をやらない」という対応では、顧客は簡単に離れてしまいます。
顧客が自社との繋がりを感じ続けてくれることが、インバウンドマーケティングでは重要です。
カスタマーサポートやカスタマーサクセスの体制整備も、インバウンドマーケティングの延長線上につながる施策として重要であることを心得ておきましょう。
5. インバウンドマーケティングの具体的な手法5選
ここからは、インバウンドマーケティングの具体的な施策を紹介します。
一口に「コンテンツを作る」といっても、フェーズによって媒体や発信内容は異なります。使用するタイミングや発信内容について押さえておきましょう。
5-1. オウンドメディア
インバウンドマーケティングにおいてメインの手法になるのが、オウンドメディアです。オウンドメディアとは、自社で所有する企業ブログのようなWebサイトのことを指すことが多いです。
オウンドメディアは、SEO(検索エンジン最適化)により顧客の課題に対してダイレクトな解決策を提供することが可能です。SEOに成功すれば、強力なリードジェネレーション手段として機能します。
また、見込み顧客となった後も、メルマガで誘導して購買意欲を高めるなどリードナーチャリングの役割も担います。
オウンドメディアの成功事例については以下の記事で詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
5-2. SNS
SNSもインバウンドマーケティングを行う上で有効なツールです。
顧客にとって有用な情報を発信することでフォロワーを集めれば、影響力を高めることができます。
顧客と双方向のコミュニケーションを取れるSNSは、顧客との距離を縮めやすいのが特徴です。
アンケートやコメント機能を使い、顧客のニーズを知ることもできます。
代表的なSNSはTwitterやInstagramなどがありますが、それぞれユーザー層が異なるため、自社の顧客に近いユーザーの多い媒体を選ぶのがポイントです。
5-3. メルマガ
メルマガは、オウンドメディアなどのリードジェネレーション施策でメールアドレスを獲得した顧客に対して配信するメディアです。
顧客の購買意欲を高め、次のステップに進めるために使う手法として有効です。
ここでも、発信する内容は自社商品やサービスの宣伝ではなく、「顧客の役に立つコンテンツ」です。スパムメールだと思われて受信解除されてしまわないよう、顧客との接点を持ち続けることに専念しましょう。
メルマガ単体で完結するのではなく、セミナーやオウンドメディアの記事に誘導するなど、他のメディアと組み合わせて使うのがポイントです。
顧客の状態や属性にあわせて自動でメールを送るマーケティングオートメーション(MA)ツールを使うと、効率的にメルマガ配信を行うことができます。
5-4. ダウンロードコンテンツ
顧客の連絡先を取得するための手段として有効なのが、ダウンロードコンテンツです。
事例集やマニュアルなどをPDFファイルにまとめたものを用意し、連絡先の入力と引き換えにダウンロードしてもらうという方法です。
顧客が「連絡先を教えてでも欲しい」と思えるコンテンツを作るのがポイントです。また、質の高いコンテンツは、顧客に自社商品やサービスについてより深く知ってもらうことにも寄与します。
5-5. セミナー
セミナーは、オウンドメディアやメルマガによって集めた見込み顧客の購買意欲をさらに高めることができる手法です。コロナ禍以降はオンラインセミナーも盛んに行われるようになりました。
Webサイトなどの文字情報だけでは伝わらないニュアンスも、セミナーであれば分かりやすく伝えることができます。
参加者からの質問に直接応えることもできるので、商品やサービスへの不安を払拭し、信頼感を高める上でも効果的です。
セミナーの模様を収録したものを配信するなど、開催後にストック型コンテンツとして活用することも可能なので、幅広い人に届けることができます。
6. インバウンドマーケティング導入の課題
ここまでインバウンドマーケティングの導入方法を解説してきましたが、「自社で取り組むにはハードルが高い」と感じた方もいることでしょう。
ここからは、インバウンドマーケティング導入の際につまずきやすい課題と、その解決方法のヒントを紹介します。
6-1. どのようなコンテンツを作れば良いのか分からない
多くの方がハードルが高いと感じるのが、「自社には発信するコンテンツがない」ということではないでしょうか。
ですが、難しく考える必要はありません。どんな情報が顧客にとって価値があるのか、実際に顧客対応を行う営業担当者やカスタマーサービス担当者へヒアリングしたり、顧客にアンケートをとるなどして調査しましょう。
例えば社内の労務管理サービスを提供する会社であれば、「管理業務の効率化」や「採用時の情報セキュリティ対策」など、総務や人事部門の担当者が日々頭を悩ませているであろう話題を取り上げると良いでしょう。
自社では常識だと思っていることが、顧客にとっては価値ある情報になる場合もあり得ます。まずは、そうした情報がないか丹念に情報収集することから始めましょう。
6-2. スキルを持った人材がいない・社内に体制がない
インバウンドマーケティングは、アウトバウンド型のアプローチとは取り組む内容が根本的に異なります。
これまでアウトバウンド型のアプローチ主体で取り組んできた企業の場合、スキルやノウハウを持った人材を確保するのが難しいでしょう。
例えばオウンドメディアの構築を行うには、リサーチやメディアの設計を行うマーケター、サイト制作を統括するディレクター、記事コンテンツを作成するライターなど、さまざまな人材が必要です。
こうした人材をゼロから育てたり採用したりするのは大変な労力がかかります。コアな部分は自社で担うとしても、部分的に外部の協力会社に頼ることを検討するのが現実的でしょう。
6-3. 効果が出るまでに時間がかかる
「顧客に見つけてもらう」インバウンドマーケティングは、効果が目に見えるようになるまでは数ヶ月から数年の時間がかかるのが一般的です。また、広告と異なり、一度にたくさんのアクセスを集めるのも苦手分野です。
取り組んだ結果、数ヶ月経ってもアクセスが集まらず売上も発生しないというのは、「インバウンドマーケティングあるある」とも言えるでしょう。だからといって、施策をやめてしまうのは早計です。
時間がかかる施策であるという前提で、顧客への価値提供に専念しましょう。そういった方針について、経営層なども含め認識をあわせておくことをおすすめします。
6-4. 費用対効果が分かりにくい
インバウンドマーケティングは、費用対効果が分かりにくい点もデメリットと言えるでしょう。
施策を始めてから売上は増えてきたけれど、それがインバウンドマーケティング施策の成果なのかが分からない…そういったことも「あるある」の1つです。
成果が出ているはずなのに、それを証明できずに「売上も出さずにコストばかりかけている」と揶揄されて悔しい思いをするマーケティング担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。
インバウンドマーケティングの費用対効果が分かりにくいのは、間接効果が多いからです。最初の接点はオウンドメディアで獲得したけれど、数ヶ月後に社名や商品名で指名検索してコンバージョンした場合などは、「出どころの分からない成果」になりがちです。
こうした間接効果を「インバウンドマーケティングの成果」として証明するためにも、効果計測ツールなどを導入して、施策の効果を正しく計測しましょう。
7. インバウンドマーケティング成功のポイント
さまざまなメリットがあるインバウンドマーケティングですが、先述したデメリットを克服できずに成果を出せない企業も数多くあるのが現実です。
ここからは、インバウンドマーケティングを成功させるためのポイントについて解説します。
7-1. 社内での合意形成を図る
最初のステップとして、経営層や関係者との合意形成は欠かせません。
なぜインバウンドマーケティングに取り組まなければならないのか、どのような効果が見込めるのか、体制はどうするのかなど、計画を立ててプレゼンテーションする必要があるでしょう。
経営層向けには、本記事の「インバウンドマーケティングに取り組むべき理由」の章で取り上げたようなデータを提示し、自社の置かれた環境を客観的に見せるのがおすすめです。
また、インバウンドマーケティング施策を実際に運用するフェーズに入った際には、マーケティング部門と営業部門の連携が必須です。成果が出ない際に責任の押し付け合いにならないよう、施策のゴールやお互いの役割分担などを明確にしておきましょう。
部門間の連携を測る上で有効なのが、入口(顧客との接点)から出口(成約)にまたがるデータを一気通貫で確認できる環境づくりです。客観的なデータがあれば、課題解決のための建設的な議論が可能です。マーケティングツールを活用し、データ計測環境を整備しておきましょう。
7-2. ターゲットを明確にする
メディア運営の際に注意したいのは、ターゲットを明確にするということです。
施策がうまくいかない時にありがちなのが、目先の集客数に目移りして、自社に必要のないユーザーまで集めてしまうということです。
自社のWebサイトに多くのユーザーを集めるだけでは意味がありません。
「顧客になりうるのはどんなユーザーか」を明確にして、集客プラン策定やコンテンツ制作に取り組むのが重要です。業種や役職、年代、業務上の課題、興味関心など、具体的な顧客像をペルソナとして設計することをおすすめします。
7-3. パートナー企業を選定する
インバウンドマーケティングに取り組む際、コンテンツの企画や制作でアウトソーシングを利用することもあるでしょう。
こうしたパートナー企業選びの際には、自社の課題に真摯に向き合ってもらえるかどうかの見極めも重要です。「いつも取引しているから」という理由だけで選ぶのはナンセンスです。
企業によって得意分野も異なります。過去の実績などを見て、自社のビジネスに理解のある企業かどうかという基準で選定しましょう。
パートナー選びにお困りの際には、アドフープのようなBtoB向けマッチングサービスを利用するのも一つの方法です。
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7-4. 間接効果も含めた正しい効果測定を行う
インバウンドマーケティングを行う際に欠かせないのが、成果を計測するためのツールです。広告効果測定ツールやアクセス解析ツールを用いて、効果計測を行いましょう。
費用対効果を測りにくい施策だからこそ、顧客との接点を漏らさず計測できるツールを選ぶのが重要です。
多くの企業が導入しているGoogleアナリティクスでも一般的な効果測定を行うことは可能ですが、オウンドメディアの効果測定においては不向きな点もあります。
オウンドメディアは、直接コンバージョンを得るよりも、ユーザーに情報提供してコンバージョンをアシストする役割が大きいメディアです。そうした間接効果を計測するために、多くの計測ツールがブラウザのCookieを利用していますが、このCookieが近年は「個人情報にあたる」とされて規制の対象になっています。
例えば、比較的メジャーなブラウザであるSafariでは、ファーストパーティCookieの有効期間が7日間しか保持されないなど、Cookieに対する規制は今後も続く見込みで、長期間にわたるユーザー行動の把握が難しい場面も出てくるでしょう。特にユーザーの検討期間が長期化しやすいBtoBビジネスにおける影響は大きくなります。
こうした状況を踏まえた上で、有料・無料を問わず、自社の施策にあったツールを選ぶようにしましょう。
8. インバウンドマーケティングの導入事例
最後に、インバウンド型のアプローチを取り入れて成功したマーケティング事例を紹介します。
8-1. 【サイボウズ式】オウンドメディアが認知拡大に貢献
グループウェアの開発を手がけるサイボウズ株式会社は、BtoB向けオウンドメディア「サイボウズ式」を核としたインバウンドマーケティングで認知拡大を成功させています。
サイボウズ式は、組織での振る舞い方やワークライフバランスなどをテーマにしたWebサイトです。オープンは2012年と早く、オウンドメディアの老舗ともいえます。
オウンドメディアを立ち上げるまでの同社は、アウトバウンド型の広告展開で顧客を獲得していましたが、広告効果が頭打ちとなり売上の停滞に悩んでいました。オウンドメディアを立ち上げたことで、これまで届いていなかった層に社名・製品名を知ってもらうことができ、知名度を大きく上げることに成功したのです。
サイボウズ式では自社のグループウェアの宣伝をするのではなく、「読者の知りたい情報」の発信を徹底しています。その運営方針がメディアとしての価値を上げ、現在ではサイボウズ式をきっかけに採用面接に訪れる人がいるなど、製品の認知以外の効果も現れているといいます。
まさに「顧客に見つけてもらう」インバウンドマーケティングの好例と言えるでしょう。
9. まとめ
プッシュ型の営業が効かない時代に取り組むべきインバウンドマーケティングについて解説してきました。
現在ではオウンドメディアの構築に取り組む企業も増えてきており、インバウンドマーケティングの分野でも競争が激化しています。効果が出ずに閉鎖するオウンドメディアも少なくありません。
ですが、恐れることはありません。これからコンテンツ発信を行うという企業にとっては、先行事例を研究して勝ち筋を見極められるという点がメリットになるからです。
そうした事例研究の一助になればと考え、オウンドメディア成功の秘訣をまとめた資料をご用意しました。以下より無料でダウンロードできますので、ご参考になりましたら幸いです。
また、計測が難しいオウンドメディアの間接効果を可視化し、コンバージョンに寄与していることを証明した事例もございます。業務ソフトウェアを提供する弥生株式会社では、新規顧客獲得のためにオウンドメディアでのタイアップ記事施策を強化し、コンバージョン数を296%アップさせることに成功しました。成功事例の詳細については、以下の記事もあわせてご覧ください。
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