広告におけるCPAとは?設定方法や改善のためのポイントを解説
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※2024年8月期_指定領域における市場調査 調査機関:日本マーケティングリサーチ機構
CPAとは、広告運用において、コンバージョン1件あたりにかかった広告費用を示す値です。目標とするCPAを適切に設定してそれに向けて改善を行っていくことで、広告の費用対効果を最大化し、集客を効率化することにつながります。
ただし、CPAを下げることばかりを意識してしまうと、広告費を削減できたとしても、売上の減少につながってしまう恐れがあります。広告の効果を改善するには、CPAの概要や、指標としての重要性を正しく理解することが重要です。
本記事では、CPAの定義や計算方法、目標の設定方法、改善方法について説明します。
- この記事で分かること
-
- CPAの定義と計算方法
- CPAと他の広告指標との違い
- CPAの重要性と目標設定方法
- CPA改善のための具体的な施策
目次
1. 広告におけるCPAとは
まずは、CPAの定義や計算方法について解説します。
1-1. CPAとは「顧客獲得単価」のこと
CPA(Cost Per Action、Cost per Acquisition)とは、1件あたりのコンバージョンを獲得するためにかかった広告費のことです。顧客獲得単価ともいいます。
広告におけるコンバージョンとは、ユーザーが広告をクリックしてLP(ランディングページ)やWebページへの遷移後に、商品・サービス購入や問い合わせ、資料請求などの成果(特定のアクション)につながった状態を指します。
コンバージョンは、売上につながる指標にもなるため、CPAを算出し、分析することで、広告の費用対効果を判断する材料の一つとなります。
1-2. CPAの計算方法
CPAの計算式は以下の通りです。
広告費用 ÷ コンバージョン数=CPA
ここでは問い合わせをコンバージョンとして設定したと仮定して、広告A・広告BのCPAの比較方法を紹介します。
広告A
- 投じた広告費:100,000円
- 1ヶ月に獲得した問い合わせ数:10件
100,000円÷10件=CPA:10,000円
広告B
- 投じた広告費:35,000円
- 1か月に獲得した問い合わせ数:7件
35,000円÷7件=CPA:5,000円
上記の例では、広告Aの方が問い合わせ数が多いため、一見広告の成果が出ているように見えるかもしれません。しかし、CPAを見ると、広告Aには1件あたりの問い合わせに多くの費用がかかっていることがわかります。従って、CPAの低い広告Bのほうが効率的にコンバージョンを獲得できているといえるでしょう。
このように広告運用をCPAの観点で比較することで、獲得効率の高さを見極められます。
2. CPAと広告で使われるその他の指標との違い
広告で使用される指標は、CPAのほかにも以下の4つがあります。
- CPO
- CPR
- CPC
- ROAS
ここでは、CPAと上記の4つの指標の違いについて紹介します。
2-1. CPOとの違い
CPO(Cost Per Order)とは、顧客1人あたりの商品やサービスの購入にかかった費用を求める指標です。広告での算出方法は「広告費用 ÷ 購入数」です。
CPAとCPOは、何をコンバージョンとするかに違いがあります。CPAは問い合わせや資料請求、会員登録といったユーザーの行動をコンバージョンの対象としますが、CPOは購入のみが対象です。
2-2. CPRとの違い
CPR(Cost Per Response)とは、1件のレスポンスにかかった費用を求める指標です。
「広告費用 ÷ レスポンス数」で計算できます。
レスポンス(顧客からの何かしらの反応)は、サンプル申し込みや資料請求など、企業によって指標が異なります。CPAと内容が似ていますが、CPRはCPAの前の中間目標として設定することが一般的です。
例えば、最終目標(CPA)が商品購入だった場合は、その中間(CPR)にサンプル申し込みを設置します。
2-3. CPCとの違い
CPC(Cost Per Click)とは、1クリックごとにかかる費用を求める指標です。広告での計算式は「広告費用 ÷ 広告のクリック数」となります。
CPAなどと異なる点は、何らかの成果ではなくクリックのみを対象にしていることです。そのため、成果につながらないクリックもCPCの計算対象となります。
CPAは効率良くコンバージョンを獲得できたか確認する指標として用いられますが、CPCはクリックを効率よく獲得できているかを見る際に用いられます。
2-4. ROASとの違い
ROAS(Return On Advertising Spend)とは、広告の費用対効果を測る指標であり、広告費1円あたりの売上額を求めます。計算式は「広告による売上額 ÷ 広告費 × 100」です。
例えば、広告による売上が1,000万円で広告費が100万円だと、ROASは1,000%(10倍)となります。これは、広告費1円につき、10円の売上を得られるという計算です。ROASは「広告費の回収率」ということもでき、複数の広告の効果を比較して、どの広告がより優れた費用対効果を発揮しているのかを測ることに役立ちます。
1件あたりのコンバージョンにかかっている広告費用を表すCPAとはまったく意味合いの異なる指標ですが、CPAとROASを組み合わせることで、広告運用における本質的な費用対効果を把握できます。
3. CPAは広告運用においてなぜ重要なのか
CPAは、広告費用の設定や見直しなどの戦略設計に用いられます。コストと収益のバランスが求められる広告運用において特に重要な指標です。
広告で獲得したコンバージョンのコストをCPAを通じて正しく把握できれば、広告運用の効率性を評価して改善にも活かせます。
CPAの数値が低いほど、獲得できる利益は増えます。逆に、コンバージョンが多く出ていて売上が増えているように見えても、CPAが高騰していていれば、広告費が高く収益性が低い状態です。
また、複数の広告を出稿している場合は、CPAを基準に各広告の効果を比較することで、どの広告に費用をかけるべきかどうかを判別しやすくなるでしょう。
4. 広告で目標とするCPAを設定する方法
CPAの考え方としては、1件のコンバージョンにかけられる最大費用を示す限界CPAと、広告運用で得たい利益を出すための目標CPAがあります。それぞれの計算方法を紹介します。
4-1. 限界CPA(損益分岐点)を計算する
目標とするCPAを設定するには、最初に限界CPAを計算する必要があります。限界CPAとは、1件のコンバージョンに投じられる最大費用のことです。
この費用額は「この額まで広告費をかけても利益を出せる」という上限値を指します。
例えば、商品購入をコンバージョンと設定した場合は以下のように計算します。
- 限界CPA = 平均顧客単価 × 利益率
- 限界CPA = LTV × 利益率
限界CPAはあくまで上限値となるため、利益を上げるために目指すべき指標は目標CPAとなります。
4-2. 目標CPAを設定する
目標CPAは、広告運用で得たい利益率から算出する、1件あたりのコンバージョンにかける費用の目標額です。計算式は以下の通りです。
- 目標CPA = 平均顧客単価 × (1 - 目標利益率)
- 目標CPA = LTV × (1 - 目標利益率)
例えば、平均顧客単価が10,000円で利益率が40%だった場合、限界CPAは4,000円となります。このケースで目標利益率を60%に設定する場合、目標CPAは4,000円です。
目標CPAが決まれば、そこから広告費やコンバージョン数といった目標を逆算できます。
5. 広告のCPAを改善する方法
CPAが高騰すると、コンバージョンまでにかかる広告費が増加し、費用対効果が低くなります。このような状態では広告からコンバージョンを獲得しても、十分な利益の確保が難しくなるでしょう。
CPAを改善するには、CPCを下げる方法とCVRを上げる方法の2種類があります。それぞれの改善方法について、詳しく見ていきましょう。
5-1. CPC(クリック単価)を下げる
CPCとは前述の通り、1クリック当たりの広告費のことです。CPCの値が小さいほど、少ない広告費で多くの反応が得られやすくなります。その結果、費用対効果が高くなりCPAの改善にも効果的です。ここでは、クリック単価を下げる方法を2つ紹介します。
5-1-1. 入札単価を調整する
入札単価とは、出稿する広告に設定する1クリックあたりの上限額のことです。入札単価を下げることで広告費用が少なくなり、CPCを下げられます。
ただし、入札単価は広告の掲載順位を決定する要素の1つとなるため、上限額が下がりすぎると広告表示回数が少なくなり、逆にCPCを悪化させるリスクがあります。単に入札単価を下げるだけでなく、広告の費用対効果も意識することがポイントです。
入札単価を調節する際は、競合他社の単価のリサーチやコンバージョン率・クリック率を分析してから調整すると効果的です。また、リスティング広告の場合は、後述する品質スコアにも着目しましょう。
5-1-2. 品質スコアを上げる
リスティング広告では以下の3つの要素が重視され、それぞれが優れている広告ほど品質スコアが高まります。
- 広告が表示された際にクリックされる可能性の高さ
- ユーザーの検索意図と広告のマッチ度
- ランディングページの有益性
など
これらの要素を満たして品質スコアを上げるには、キーワードに適した広告文の作成や、リンク先のコンテンツの充実が大切です。
品質スコアはリスティング広告において、入札単価と同様、広告の掲載順位を決める基準の一つです。品質スコアが高いほど、低い入札単価で高い掲載順位を獲得しやすくなります。結果として広告の費用対効果が高まり、CPCを下げることにつながります。
5-2. CVR(コンバージョン率)を上げる
CVRが高まれば、同じクリック数でより多くのコンバージョンを獲得できます。ここではCVRを上げるための具体的な方法を解説します。
5-2-1. キーワードの見直し
広告がクリックされてもコンバージョンにつながらない場合、ユーザーが求めるキーワードと自社で設定しているキーワードの関連性が低いケースが考えられます。
その場合は、設定しているキーワードを見直し、関連性の低いキーワードを除外設定すると効果的です。これにより、無駄なクリックを避けて余計な広告費を削減できます。
また、クリック数自体が少ない場合、そもそものキーワード設定が不適切な可能性が考えられます。競合他社の出稿キーワードを調査し、自社の戦略に取り入れることも一案です。
5-2-2. ターゲットの見直し
キーワードを見直してクリック数が増えても、コンバージョンにつながらない場合、実際に広告を見ているユーザーと想定していたターゲットに乖離が生じている可能性があります。
ターゲットを見直す場合は、「ターゲットは何に悩んでいるのか?」「ターゲットはどんなことを解決したいのか?」といった視点で考え直すことが重要です。また、既存顧客の属性や行動履歴などのデータをもとに、ペルソナを考え直す方法もあります。
5-2-3. 広告文の改善
広告文を変更しないまま運用していると、その内容がターゲットやキーワードに合わず、コンバージョンの減少につながる可能性があります。
ターゲットを取り巻く環境や興味を持つ対象は常に変化しており、時間の経過とともに最適な広告文の内容も変わります。「顧客の潜在ニーズを汲み取っているか」「顧客の悩みに寄り添っているか」といった点を意識して、定期的に広告文を見直しましょう。
また、広告文がキーワードと合っていない場合はクリックがされにくく、LPと合っていない場合はページ離脱の原因となります。
5-2-4. LP(ランディングページ)を改善する
LP(ランディングページ)とは、広告クリック後に遷移するWebページのことです。ユーザーの着地点であり、実際にコンバージョンが発生する場所でもあります。
LPでは1ページでユーザーの課題の可視化や商品・サービスの訴求、CTA(行動喚起)などを行います。LPでの訴求方法に問題があると、広告のクリック数が多くてもコンバージョンにつながりません。そのため、定期的にLPの内容を見直して改善を図りましょう。
例えば、「自然な構成になっているか」「レイアウト全体の視認性が悪くないか」「どのような部分でユーザーが離脱しているか」といった点を確認します。
訴求内容は、広告出稿しているキーワードを加味して、自社の競合優位性や強み、利用者の声、導入事例といった要素を盛り込みましょう。
5-2-5. フォーム離脱率を改善する
フォームからの離脱率が高い場合には、EFO(エントリーフォームの最適化)を実施しましょう。
フォームは商品・サービスの申し込みや問い合わせ、資料請求などのアクションに繋がる重要な要素です。例えば、フォーム離脱率が80%を超えているようなケースでは、広告文やLPを改善してもなかなかコンバージョンにはつながりません。
EFOを実施する際は、ユーザーと同じようにフォームを使ってみる方法がおすすめです。実際に使ってみることで、フォームの操作性やページのレイアウトなど、さまざまな問題点を洗い出せます。
EFO改善の一例として、フォームの項目数をなるべく減らす、住所を郵便番号から自動入力できるようにするといった方法があげられます。調査内容をもとに原因・対策の仮説を立て、改善に向けたプランを組みましょう。
6. 広告のCPA改善に取り組む際のポイント・注意点
CPAの改善にあたっては、以下のような注意点を意識する必要があります。
- CPAのみに捉われず多角的に分析する
- 予算ありきではなく全体最適化を目指す
ここでは、それぞれのポイントと注意点について解説します。
6-1. CPAのみに捉われず多角的に分析する
CPAはあくまで、広告運用の費用対効果を計測するための指標の一つです。そのため、CPAの数値を下げることだけが必ずしも正解ではありません。
例えば、前述のように「問い合わせ数は多いが投じた広告費も多い広告A」と「問い合わせ数はそこそこだが投じた広告費は少ない広告B」を比較する場合、CPAが低い広告Bが一見効率的に見えるかもしれません。しかし、売上や利益の面で見ると、広告Aの方が高い成果を上げているケースも数多くあります。
特に売上拡大を最優先にしている場合は、CPAが低い広告Bよりも、広告Aの方が目的を達成しやすいでしょう。
CPAの改善に固執するあまり、最終的な目的であるコンバージョン数や売上・利益が下がってしまっては本末転倒です。CPAだけではなく、売上に対する費用対効果を示すROASや、最終目標(KGI)、さらに関連するKPIも合わせて、多角的に効果を検証することが大切です。
6-2. 予算ありきではなく全体最適化を目指す
広告運用では、「できるだけ予算をかけずに成果をあげたい」と考えることも多いですが、予算を基準に考えすぎると、効果的な広告運用ができない場合があります。
予算は、最初に目標となるCPAやコンバージョン数を設定してから立てます。その後、広告の反応率や費用対効果を測定し、結果をもとに予算を最適化していきましょう。このような順序を守ることで、広告運用の最適化につながります。
7. アドエビスでCPAを含めた多角的な広告分析を実現しよう
広告運用においてCPAは重要な指標ですが、CPAのみに着目するのではなく、多角的な分析を行うことが重要です。
広告効果測定ツール「アドエビス」は、さまざまな媒体の広告における分析・改善を支援します。売上と紐づけてROASを加味した分析もできるため、より包括的に広告の費用対効果を把握することが可能です。
アドエビスは、以下のような特徴を持ったサービスを提供しています。資料をダウンロードすることもできますので、広告運用に課題を感じている方はぜひご確認ください。
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